旧開智学校
きゅうかいちがっこう □長野県松本市




<圧巻のオーラを放つ、独創的な国宝建築。>
松本市にある「旧開智学校」は、1876年に建てられた日本最古級の小学校で、文明開化を象徴する擬洋風建築として国宝に指定されています。八角塔屋や龍の彫刻、唐破風など和洋折衷の独創的な外観が圧巻。館内では教育史料やステンドグラスが彩る講堂も必見です。本記事では、旧開智学校の歴史や見どころ、アクセス、実際に訪れて分かったおすすめ情報を詳しく紹介します。
所要時間:30〜60分(見学)
圧巻のオーラを放つ、独創的な国宝建築。
国宝の松本城で知られる街、長野県松本市。その松本市にある、もうひとつの国宝の建物が「旧開智学校」です。1876年(明治9年)に建てられた学校で、文明開化時代の学校建築の象徴的存在として広く知られている名建築。実際に1963年まで小学校の校舎として使われていました。今では貴重な文化財として保存され、館内では教育の歴史にまつわる展示を行う資料館として公開されています。2021年から3年間に渡る修復を終え、2024年から再公開されました。

1876年(明治9年)に建てられた学校で、文明開化時代の学校建築の象徴的存在として広く知られている名建築。
街の中に、ひとつ抜き出た八角形の塔屋。
最初に見た旧開智学校は松本城の天守最上階からでした。街の中に高さひとつ抜き出た八角形の塔屋が、遠くからでもすでに並々ならぬ存在感を放っています。その松本城から徒歩10分ほど。あらためて近くで見る旧開智学校は、圧倒的なオーラで聳え立っていました。
正門は南側にありますが通常は閉じられていて、敷地西側にある通用門のようなところから入場します。小さな付属の建物で入館料を支払い、あとは自由に見学ができます。

街の中に高さひとつ抜き出た八角形の塔屋。バルコニーと手摺も回っており、一見すると中国の望楼のようにも見える。

建物全体の主役ともなっている。

旧開智学校の正門。
擬洋風建築と呼ばれる、特徴的な造り。
まずは旧開智学校の独創的な建物に圧倒されます。木造2階建ての建物ですが、擬洋風建築と呼ばれる非常に特徴的な造りをしています。擬洋風建築とは木材を用いた日本的な建築手法で、しかし主に外観を中心に洋風のデザインがなされた建築です。必然的に和洋折衷の意匠になることが多く、独特の世界観が生み出されます。旧開智学校はその代表的な事例として日本建築史に輝いているのです。

木造2階建ての建物で、擬洋風建築と呼ばれる非常に特徴的な造り。和洋折衷で独特の世界観が生み出されている。

東西南北が示された避雷針。

軒下には、龍の彫刻があしらわれている。
鮮烈な個性を放つ、旧開智学校の外観。
外観には見どころが凝縮されています。まずは正面中央にある車寄せと庇、最上部にある八角塔屋までの特異なデザインです。木の柱に支えられた庇の軒下には、龍の彫刻があしらわれています。庇の上側には雲をデザインした彫刻が無数に飾られています。さらにその上、2階部分にはなんと唐破風屋根。全体的に洋風の外観の中で、これが強烈な存在感を放っています。その唐破風の下には2体の天使が掲げる校名の額があります。そしてその上には建物全体の主役ともなっている八角形の塔屋。バルコニーと手摺も回っており、一見すると中国の望楼のようにも見えます。

旧開智学校の中央正面は外観意匠のハイライト。特徴的な唐破風屋根とバルコニーが独特の表情を生み出している。

旧開智学校の正面玄関。

唐破風屋根には天使の彫刻が施されている。
日本の伝統的な建築技術を応用して、洋風に仕上げられた。
外観でもうひとつ特徴的なのは外壁です。建物全体のイメージとなっている「白さ」は、土蔵の白壁などに用いられていた白漆喰によるものです。また建物四隅のコーナーストーン、1階の腰壁は一見すると石張りのように見えるのですが、実はこれも漆喰。グレーの漆喰を石積み風の目地と組み合わせて塗り分けてあり、それまでの日本の伝統的な建築技術を応用して洋風に仕上げられています。大胆不敵というか、創意工夫というか、とにかく見事なまでに独創的な建築は国宝として相応しいオーラを放っています。

漆喰による真っ白な外壁、色の板が嵌め込まれた窓など、日本の伝統的な建築技術を応用して洋風に仕上げられている。
館内には、貴重な史料が展示されている。
館内もまた、かなり見ごたえがあります。建物の東側に入口があり、館内を見学します。建物の長手方向に廊下が真っ直ぐ通っていて、正面の入口部分では廊下が十字に交わっています。教室は1階と2階に複数あり、それぞれの部屋では旧開智学校の歴史や明治時代の教科書、建物建設に関わる資料など大変貴重な品々が展示されています。
それによると昔は他にも校舎がありL字型の建物だったこと、教室も30室以上もあったそうです。明治26年の生徒数はなんと3500人。当時では珍しく英語の授業まであったといいます。

館内では旧開智学校の歴史や明治時代の教科書、建物建設に関わる資料など貴重な品々が展示されている。

明治天皇行幸の際にご座所となった部屋。

明治26年の生徒数はなんと3500人。

昭和10年代に使われていた教科書。

かなりレトロな石油ストーブ。
「ギヤマン学校」とも呼ばれていた。
2階にある「講堂」も素晴らしいです。講堂と廊下はあえて壁を設けず、洋風の手摺で仕切って一体感を持たせてあります。講堂に入ることもでき、おもむろに置かれたアップライトピアノが時の流れを止めています。また色ガラスが嵌め込まれた窓があり、カラフルなステンドグラスのようで目を奪われます。昔はこのような窓が多用され、1,200枚もあったという色ガラスは海外から輸入されたものでした。「ギヤマン学校」とも呼ばれていたそうです。

海外から輸入されたという色ガラスが嵌め込まれた窓がいくつもあり、当時は「ギヤマン学校」とも呼ばれていたそう。

旧開智学校の建物模型。

2階には最も広い部屋「講堂」がある。

歴史を感じさせるアップライトピアノ。

時が染み込んだ教室の床板。
文明開化時代の、明るく華やかな価値観。
館内はそれでもやはり過ぎてきた月日の痕跡は残しているもので、歩くたびに軋む木の床、開けると時が巻き戻っていきそうな古いドア、そもそも温かく優しい匂いがする空間…。自分の時間の進み方さえ変わってしまうほどに、別世界に連れて行かれたような。
そしてそこにあるのは文明開化時代の明るく華やかな、しかし日本独特の価値観も大切にされていた稀有な時代背景。そして時代を超えて今に受け継いできた、卒業生をはじめとした市民の思い。そんな何もかもを優しく包み込んで、旧開智学校は今も人々に感動を与え続けています。

文明開化時代の明るく華やかな、しかし日本独特の価値観も大切にされていた稀有な意匠が随所にある。

細かな部分にまで彫刻がある。

館内は自由に歩いて見学できる。
photo.
アクセスマップと交通アクセス
■公共交通機関
- JR松本駅(お城口)より徒歩約25分(約1.5~2 km)でアクセス可能です(徒歩ルートも整備されています)。
- 周遊バス「タウンスニーカー」北コース利用で、「旧開智学校」バス停下車すぐ、徒歩約1分。
- 松本駅から北市内線バス「蟻ヶ崎高校前」下車、徒歩約5分。
■車でのアクセス
- 長野自動車道「松本IC」より国道158号・県道67号経由で約15分(約4 km)。
- 駐車場:校舎西側または北側に無料駐車場あり(約20台分)。大型バス3台まで駐車可、予約不要。満車時は近隣駐車場へ誘導。
詳細情報
| 名称 | 旧開智学校 |
|---|---|
| 所在地 | 長野県松本市開智2丁目4-12 |
| 問い合わせ先 | 0263-32-5725 | 国宝旧開智学校校舎 |
| 休業日 | 3月から11月までの第3火曜日(休日の場合は翌日) 12月から2月までの火曜日(休日の場合は翌日) 12月29日から1月3日まで |
| 料金 | 一般/電子¥600、一般/紙¥700、小・中学生/¥300 |
| 駐車場 | 無料駐車場 |
| 公式サイト | https://matsu-haku.com/kaichi/ |
| wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/旧開智学校 |
| 食べログ | |
| トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298118-d320180-Reviews-Kaichi_Gakko_Primary_School-Matsumoto_Nagano_Prefecture_Koshinetsu_Chubu.html |
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情報更新日:2026年1月




